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2023.5.23

インボイス制度とは?メリットや対応ポイントについて解説

いよいよ2023年10月に迫ったインボイス制度。開始日が近づき、CMや各種メディアで耳目に触れる機会が増えたと感じる方も多いのではないでしょうか? すでに対応を済ませていれば良いですが、「まだ、準備が整っていない」「そもそも、インボイス制度の詳細を把握できていない」というところは、早急に対応する必要があります。 そこで本コラムでは、インボイス制度について、概要やメリット、対応の際に押さえておきたいポイントなどをご紹介いたします。

1インボイス制度とは

インボイス制度とは、所定の記載要件を満たした「インボイス(適格請求書)」の発行または保存によって、消費税の仕入額控除を受けられる制度を指し、正式には「適格請求書等保存方式」といいます。

 

インボイス制度に対応するためには、あらかじめ「課税事業者」としての登録が必要です。

登録開始は2021年10月1日からスタートしており、2023年10月1日から適用したい場合は、2023年9月30日までに登録を済ませておく必要があります。

 

インボイス(適格請求書)には、次の8項目を記載する必要があります。

・請求書発行事業者の氏名または名称

・取引年月日

・取引の内容(軽減対象税率の対象品目である旨)

・税率ごとに区分して合計した対価の額

・書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

・登録番号(課税事業者のみ)

・適用税率

・税率ごとに区分した消費税額等

 

上の5項目は以前から記載の必要がある項目で、太字部分が今回、新たに追加される項目となります。

 

2023年10月1日からの変更点としては、もう1点、請求書の保存義務も追加されました。それまでは、請求書を受け取る側のみに保存義務があったのに対し、変更後は発行する側も写しを保存しておく必要があります。

2インボイス制度のメリット

インボイス制度に対応することで得られるメリットには、次の3点が挙げられます。

取引の継続が見込める

インボイス制度は、全事業者が課税事業者として登録することを前提に作られたものです。

しかし、未対応事業者に罰則などはありません。

ただ、未対応だと、課税事業者と取引する際に、より多くの消費税を支払わなければなりません。

 

このため、対応しない事業者は取引してもらえなくなる恐れがあります。

裏を返せば、対応することで引き続き取引してもらえる可能性が高いということです。

業務効率化を実現できる

インボイス制度に対応し、インボイスをやり取りするための具体的な方法はいくつかあります。最も原始的な方法が郵送による送付、次がメール添付する方法で、一般的にはクラウドサービスやEDIの活用など、システム化するケースが多いでしょう。

 

なお、インボイスには発行者、受領者とも保存義務があり、紙で保存することも認められています。ただ、2022年1月に施行された改正電子帳簿保存法に対応するなら、インボイスそのものも電子化した「電子インボイス(デジタルインボイス)」の実現がおすすめです。

 

電子インボイスにより、データの手入力による非効率性やヒューマンエラーを低減できたり、仕入税額控除の計算などを自動化できたりするため、業務効率化が期待できます。

コスト削減につながる

電子インボイスの実現によるデジタル化・ペーパーレス化によるメリットとして、コスト削減も挙げられます。

 

印刷にかかる紙代やインク代、複合機などのリース代をはじめ、ファイリングなど書類管理にかかる人件費や保管スペースなどを削減でき、コスト削減につながります。

3インボイス制度の対応ポイント・注意点

では、インボイス制度に対応する際のポイントは何でしょうか?

大きく、以下の3点を押さえておきましょう。

特例について知っておく

インボイス制度には、例外(特例)もあります。適格請求書を交付することが困難という理由から、次の5点には適格請求書の交付義務が免除されます。

 

・3万円未満の公共交通機関(船舶、バス又は鉄道)による旅客の運送

・出荷者などが卸売市場において行う生鮮食料品などの販売(出荷者から委託を受けた受託者が卸売の業務として行うものに限る)

・生産者が農業協同組合、漁業協同組合又は森林組合などに委託して行う農林水産物の販売(無条件委託方式かつ共同計算方式により生産者を特定せずに行うものに限る)

・3万円未満の自動販売機および自動サービス機により行われる商品の販売など

・郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストに差し出されたものに限る)

経過措置について知っておく

インボイス制度は2023年10月1日からスタートしますが、経過措置が設けられています。

 

そもそも、インボイス制度が導入された背景には、消費税の軽減税率(複数税率)があります。

2019年10月から消費税率が10%に引き上げられましたが、低所得者への配慮のため、飲食料品と一定の新聞の消費税率が8%に据え置かれました。2種類の税率が混在する状態でも正しい消費税の納税額を算出するためにインボイス制度が導入されるのです。

 

ただ、いきなりインボイス制度へ対応すると負担が大きいため、2023年10月1日から2026年9月30日までは、経過措置として仕入税額相当額の80%の控除が、2026年10月1日から2029年9月30日までは50%の控除が認められています。

改正電子帳簿保存法と併せて対応するのがおすすめ

「業務効率化を実現できる」でもお伝えしましたが、改正電子帳簿保存法関連では帳票をデータで保管し、インボイス制度関連では紙で保管する、というように異なる種類で保管すると、混乱したり迷ったり間違えたりする原因となり、非効率的です。

 

インボイス制度と改正電子帳簿保存法をセットにして一つのプロジェクトとして対応すると、業務フローもシンプルになります。

たとえば、両方に対応したシステムを導入・活用するなどして、業務フローやルールを統一することで、業務効率化が叶うでしょう。

4インボイス制度への対応の流れ

実際にインボイス制度に対応する際の流れは、次の5ステップで進めましょう。

適格請求書発行事業者の登録をする

「インボイス制度とは」でもお伝えしたように、インボイス制度を利用するには、あらかじめ「課税事業者」として登録する必要があります。

申請先は、納税地を所轄する税務署長です。

申請方法は、国税庁のオンラインサービス「e-Tax」または郵送となります。

請求書の様式(フォーマット)を変更する

「インボイス制度とは」でお伝えしたように、インボイス制度の開始に伴い、従来の5つの記載要件に、以下の3項目が加わります。

 

・登録番号(課税事業者のみ)

・適用税率

・税率ごとに区分した消費税額等

 

この新たなフォーマットに請求書を変更する必要があります。

免税事業者に今後の対応について確認する

現状で免税事業者との取引がある場合は、インボイス制度開始に伴い、相手先が対応するかどうかを確認しておく必要があります。

対応する事業者であれば問題ありませんが、対応しない場合はより税金を多く支払う可能性があります。それでも取引を続けるか検討しましょう。

経理業務を見直す

次のステップでシステム導入することを想定すると、現状の経理業務を見直し、業務フローを改善しておくことが大切です。経理業務においてムリ・ムダ・ムラがないかどうかをチェックしましょう。

 

システムを導入しない場合も、インボイス制度の開始で経理業務が煩雑になる可能性があります。新制度開始後の業務フローをシミュレーションして、スムーズに対応できるよう業務改善を行いましょう。

インボイス制度に対応したシステムを導入する

最後に、インボイス制度に対応したシステムを導入しましょう。

すでに会計システムを導入している場合は、連携できるものを選ぶか、対応しているものに乗り換えます。

改正電子帳簿保存法にも対応する場合は、両方に対応したシステムを選ぶ必要があります。

自社の希望、目的に合わせてシステムを選定・導入してください。

5まとめ

消費税の軽減税率を背景に導入が決まったインボイス制度の開始が2023年10月に迫っています。

まだ準備ができていない場合は、対応を急ぎましょう。

 

インボイス制度への対応は、自社が課税事業者の買い手なのか売り手なのか、免税事業者なのかでも変わってきます。

本コラムのほか、国税庁のWebサイトなども参考にしながら、対応を進めていきましょう。

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この記事を書いた人
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株式会社AirAdmin8 クラウド事業本部 マーケティングG PMP マネージャー